ダットサントラック 中古の解説・魅力
「ダットラ」の愛称で知られるダットサントラックは、1935年の初代登場から国内販売終了の2002年まで、67年にわたって日本で親しまれたピックアップトラックです。現在は新車で買えないからこそ、中古市場で個性派の1台として注目されています。この記事では、ダットサントラックの歴史と世代別の特徴、現在の中古相場と在庫状況、維持や部品調達の現実、そして購入時にチェックすべきポイントまでをまとめました。
ダットサントラックの歴史と世代別の特徴
「ダットサン」の名は、日産自動車の前身である快進社が1931年に発表した小型車「ダットソン(DATSON)」に由来します。「DAT」は出資者の田健治郎・青山禄郎・竹内明太郎のイニシャル、「SON」は小型を意味していましたが、「損」を連想させることから太陽を意味する「SUN」に改められました。
ダットサントラックは戦前から戦後復興期、高度経済成長期、バブル期を経て2002年まで生産されました。ここでは実際に中古市場で流通している世代を中心に、全10世代を紹介します。
初代〜5代目(1935年〜1965年):戦前から戦後復興を支えた時代
初代10T型(1935年〜1943年)はアルミ製ピストンにジュラルミン製コンロッドを採用するなど、当時としては先進的な設計が特徴でした。戦後型の1121型以降、登場する6147型は日産ヘリテージコレクションに保存されています。この時代のモデルは現在、博物館級の希少車であり、中古市場で見かけることはまずありません。
3代目120型(1955年〜)からは新設計のシャシーを採用。4代目220型(1957年〜)は英国オースチン社との技術提携による影響がフロントマスクに表れ、丸目ヘッドライトと水平基調のルーバーが特徴的な1台です。5代目320型(1961年〜)ではスタイリングが一新され、よりモダンな外観になりました。
6代目 520/521型(1965年〜1972年):累計生産100万台の金字塔
520型は新開発の1300cc J型エンジンを搭載し、ホイールベースとトレッドを拡大。乗車定員が3名となり、実用性が大きく向上しました。1969年にはダットサントラック(バンを含む)が累計生産100万台を達成。この世代から、コレクターズアイテムとしての魅力が高まります。
521型は520型のマイナーチェンジ版で、フロントグリルやテールランプの意匠が変更されました。
7代目 620型(1972年〜1979年):トラッキンブームの火付け役
620型はスタイリッシュなデザインが評判を呼び、1980年代の「トラッキン」(ピックアップトラックのカスタム文化)ブームの礎を築きました。北米市場でも大ヒットし、今なおイベント会場でカスタムベースとして人気です。エンジンは1500ccのJ15型や1600ccのL16型などを搭載。
8代目 720型(1979年〜1985年):4WDとダブルキャブの登場
720型では、ついに4WDモデルが追加。さらにピックアップトラック初のダブルキャブ(4ドア・5人乗り)を設定し、商用からレジャーまで用途を広げました。フロントサスペンションに独立懸架を採用し、操縦安定性も向上。エンジンはL18型(1770cc)やZ20型(1952cc)などを搭載。
9代目 D21型(1985年〜1997年):「ダットラ」人気を決定づけた世代

D21型はダットサントラックの代名詞とも言える世代です。1986年登場のSUV「テラノ」とプラットフォームを共有し、無骨でタフなスタイリングが支持を集めました。エンジンはガソリン(Z24型 2400cc、KA24型 2400cc)とディーゼル(TD25型 2500cc、TD27型 2700cc、QD32型 3200cc)をラインアップ。現在の中古市場では最も在庫が多い世代で、カスタムベースとしても根強い人気があります。ダブルキャブは4ドア5人乗りでファミリーユースにも対応。ディーゼルエンジンの耐久性は海外市場でも高く評価され、20万km超の個体も珍しくありません。
10代目 D22型(1997年〜2002年):最終世代、現代の実用車として
D22型は国内向け最終モデルです。海外では「フロンティア」「ナバラ」として2012年頃まで生産が続きました。国内仕様はガソリン(KA24型 2400cc、VG33型 3300cc V6)とディーゼル(QD32型 3200cc、ZD30型 3000cc)を設定。ダブルキャブを中心に展開され、エアロパーツを装着した「スカイスター」もオーテックジャパン扱いでリリースされました。キャブオーバートラック全盛の時代にピックアップトラックとして最後まで生き残った、日本市場における貴重な存在です。
現在の中古相場とタマ数
中古車掲載台数
2026年6月時点、主要中古車情報サイトでのダットサントラックの掲載台数は以下のとおりです。
- グーネット:約72台
- カーセンサー:約83台
いずれも全国の在庫で、D21型・D22型が中心です。620型や720型といった旧世代はごくわずかで、希少性が年々高まっています。
価格帯の目安
中古車価格は85万円〜240万円程度が中心帯です。世代・状態・カスタムの有無で大きく変動します。
| 世代 | 目安価格帯(車両本体) | 特徴 |
|---|---|---|
| 620型・720型 | 100万円〜250万円超 | 希少。状態・オリジナル度で大きく変動 |
| D21型(1985年〜1997年) | 85万円〜200万円 | タマ数最多。カスタム済みは高値傾向 |
| D22型(1997年〜2002年) | 90万円〜240万円 | 比較的状態の良い個体が多い。4WDはプレミアム |
ディーゼル・4WD・ダブルキャブの組み合わせは特に人気が高く、プレミア価格がつく傾向にあります。逆に2WD・シングルキャブのガソリン車は比較的手頃です。
買取相場
買取相場は年式・状態で大きく異なります。参考までに、ネクステージの過去実績では1989年式・走行距離1.9万kmのD21型が最高120万円、セルカの実績では2002年式・16.9万kmのD22型 DXが約32万円でオークション成約しています。走行距離や修復歴の有無が査定額に直結するため、購入時と同様に売却時も状態管理が重要です。
維持・部品の状況
自動車税・車検
ダットサントラックの多くは4ナンバー(小型貨物車)登録です。最大積載量1t以下・排気量1.5L超の場合、自動車税は年額1万6,000円(2026年時点)。ただし13年超の車両は重課税対象となります。
車検は貨物車のため年1回(新車登録から2年目以降)。車検費用の目安は7〜8万円程度ですが、旧車であるほど整備箇所が増えるため、10万円以上かかることも想定しておきましょう。
燃費
カタログ燃費(10.15モード)はD22型 2.4Lガソリンで8.5〜9.5km/L程度。実燃費は7〜8km/L前後と見ておくとよいでしょう。ディーゼルモデルはガソリンより2〜3km/L良い傾向にありますが、軽油価格との差し引きで考えてください。
部品供給の現実
旧車最大の関門が部品調達です。ダットサントラックの部品供給は世代によって状況が異なります。
- D22型・D21型:エンジン部品や足回りは中古・リビルト部品市場で比較的入手しやすい状況です。トラック専門の中古パーツ販売店(シマ商会、大洋商会、RECOジャパン、パーツバンク.netなど)に在庫があり、日産ディーラーでも一部純正部品は供給継続中。社外新品のブレーキキャリパーやサイドマーカーなどもネット通販で流通しています。
- 720型以前:純正部品は大半が生産終了。中古パーツもタマ数が限られ、ヤフオクや専門店の在庫を地道に探す必要があります。消耗品(ブレーキパッド、ベルト類)は汎用品での対応が現実的です。
特に注意すべきはフレームの錆です。ラダーフレーム後方の腐食は致命的で、板金修理でも対応できないケースがあります。購入時はリフトアップしての下回り確認が必須です。
購入時の注意点
1. 世代選び:趣味か実用かで決める
- 旧車趣味・コレクション目的なら620型・720型。ただし部品調達とメンテナンスに時間と費用をかけられることが前提です。
- カスタムベース・普段使いならD21型。タマ数が多く、アフターパーツも充実しています。
- 実用性重視・長く乗りたいならD22型。最も新しい世代で、部品供給も比較的安定しています。
2. ボディタイプを確認する
ダットサントラックには3種類のキャブがあります。

- シングルキャブ(2人乗り):実用本位。タマ数は少なめ。
- キングキャブ(2ドア・後部に補助席):北米で人気。国内でもカスタムベースとして需要あり。
- ダブルキャブ(4ドア・5人乗り):ファミリーユース可能。最も人気が高く価格も高め。
3. エンジンはディーゼルかガソリンか
- ディーゼル(TD27/QD32等):耐久性が高く、海外でも評価される名機。ただし経年による黒煙・始動性の悪化に注意。寒冷地ではグローランプの状態を確認。
- ガソリン(KA24/Z24等):静かで扱いやすい。部品も入手しやすい。ただし燃費は期待しないこと。
4. 現車確認で必ず見るべきポイント

- フレームの錆:リフトアップで下回りを確認。特に後方のラダーフレーム腐食は修理不能の可能性があります。
- エンジン始動時の異音・白煙/黒煙:冷間時の始動性とアイドリングの安定性をチェック。
- 修復歴の有無:事故歴がある個体は価格が下がりますが、フレーム修正の質によっては後々トラブルの原因に。
- 整備記録簿の有無:走行距離より整備履歴のほうが重要です。オイル交換やタイミングベルト交換の記録を確認。
- 車検の残存期間:車検切れの個体は納車までの手間と費用が増えます。
5. 販売店選び
ダットサントラックは専門性の高い車種です。一般の中古車販売店より、ピックアップトラックや旧車を専門に扱う販売店のほうが、車両の状態を見極める目があります。グーネットやカーセンサーで「ダットサントラック 専門店」といったキーワードで検索し、複数台を比較することをおすすめします。
まとめ:ダットラ中古は「探す楽しさ」も含めて一台
ダットサントラックの中古車は、新車にはない無骨なスタイリングと、67年の歴史が醸す独特の存在感が魅力です。ただし旧車である以上、相場や維持費だけでなく、部品調達や販売店選びまで視野に入れた準備が必要です。
気になる方は、まず中古トラック情報サイトで在庫をチェックしてみてください。お気に入り車両の比較や見積もり依頼もオンラインで完結できます。また、部品調達にはトラック専門の中古パーツ検索サイトが心強い味方になります。納得のいく1台を、じっくり探してみてください。
参照元
- 日産・ダットサントラック(Wikipedia)
- グーネット中古車 ダットサントラック価格相場
- カーセンサー ダットサン中古車情報
- セルカ ダットサントラック買取実績
- ネクステージ ダットサントラック買取相場
- WEB CARTOP「はたらくクルマとしてまたカスタムカーのベース車として67年も親しまれたダットサントラック」(2024年6月)
- 旧車王マガジン「日産 10代目ダットサンピックアップ(D22型)の維持費は高い?」(2023年7月)
- Webモーターマガジン「クロカン列伝17 ダットサンピックアップ編」
- 読むテレビ愛知「日産が創業時から作り続けた名車!ダットサントラックは英国車の魅力も兼ね備えた1台」(2024年11月)
- 日産ヘリテージコレクション