中古トラックの法定耐用年数(国税庁の根拠つき)
中古トラックを事業用に購入したとき、減価償却の基準となる「法定耐用年数」が何年になるかは、経理担当者や経営者にとって避けて通れない論点です。この記事では、国税庁が定めるトラックの法定耐用年数を、新車・中古それぞれの区分に分けて整理し、具体的な計算方法と法令上の根拠をあわせて解説します。
最初に結論をまとめると:
- 新車トラックの法定耐用年数は3年〜5年(運送事業用か自家用か、積載量・排気量で変わる)
- 中古トラックは「簡便法」で計算し、最短で2年(それ未満にはならない)
- 計算式:(法定耐用年数 − 経過年数) + 経過年数 × 0.2(一部経過の場合)
- 根拠は耐令(減価償却資産の耐用年数等に関する省令)別表第一・第3条および耐通1-5-1〜1-5-4
以下、順を追って詳しく見ていきます。
「法定耐用年数」と「物理的な寿命」は別物
まず押さえておきたいのは、法定耐用年数は税法上の概念であり、トラックの実際の寿命(物理的に何年走れるか)とは無関係だということです。
法定耐用年数とは、国税庁が減価償却資産の種類ごとに定めた「減価償却の対象となる年数」です。事業で使うトラックを購入したとき、その取得費用を一括で経費にせず、法定耐用年数にわたって分割して計上するのが原則です。
一方、物理的な寿命はメンテナンスや使われ方で大きく変わり、大型トラックであれば実用上15〜20年走り続ける例もあります。法定耐用年数が切れても、実際に使えなくなるわけではありません。経理上は償却が終了しても、事業の現場ではその後も使い続けるケースが一般的です。
新車トラックの法定耐用年数一覧
トラックの法定耐用年数は、運送事業用か自家用か、積載量・排気量、ダンプ式かどうかの3つの軸で決まります。根拠は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令(耐令)」**別表第一「車両及び運搬具」**です。
なお運送事業用に該当するかどうかは、道路運送法または貨物自動車運送事業法の許可を受けて登録された車両かどうかで判定します(耐通2-5-6)。
国税庁の公表資料をもとに整理した一覧が下表です(令和7年4月1日現在)。
運送事業用・貸自動車業用・自動車教習所用のトラック
| 区分 | 細目 | 法定耐用年数 |
|---|---|---|
| 小型トラック | 積載量2トン以下 | 3年 |
| 大型トラック(排気量3,000cc未満) | 積載量2トン超 | 4年 |
| 大型トラック(排気量3,000cc以上) | 積載量2トン超かつ排気量3リットル以上 | 5年 |
自家用トラック(特殊自動車・運送事業用等以外)
| 区分 | 細目 | 法定耐用年数 |
|---|---|---|
| 軽トラック | 総排気量0.66リットル以下 | 4年 |
| ダンプ式トラック | ダンプ式の貨物自動車全般 | 4年 |
| 一般貨物トラック | 上記以外の貨物自動車 | 5年 |
ポイントは、同じ車両でも運送事業用として登録されているか自家用かで耐用年数が変わることです。たとえば積載量2トン超のトラックは、運送事業用で4年、自家用で5年と1年の差が出ます。
特殊車両の注意点
トラックにクレーンが架装された「トラッククレーン」や、ブルドーザー・油圧ショベルなど、人の運搬ではなく作業が主目的の車両は「車両及び運搬具」ではなく**「機械及び装置」(耐令別表第二)**に分類され、別の耐用年数が適用されます(耐通2-5-5)。該当する車両をお持ちの場合は、別表第二の該当区分を確認してください。
中古トラックの耐用年数計算(簡便法)
中古トラックを購入した場合、新車の法定耐用年数をそのまま使うのではなく、経過年数に応じて独自の耐用年数を算定します。この算定方法の根拠は耐令第3条(中古資産の耐用年数等)および耐通1-5-1〜1-5-4です。
国税庁は2つの計算方法を認めています。
- 見積法:残りの使用可能期間を合理的に見積もって耐用年数とする方法
- 簡便法:法定耐用年数と経過年数をもとに機械的に計算する方法
実務上は、見積もりが難しいため大半のケースで簡便法が使われます。以下、簡便法の2つのパターンを解説します。

パターン1:法定耐用年数の一部が経過している場合
新車登録からの経過年数が法定耐用年数に満たない中古トラックに適用します。
計算式:
中古耐用年数 = (法定耐用年数 − 経過年数) + 経過年数 × 0.2
計算結果に1年未満の端数が出た場合は切り捨てます。また、計算結果が2年未満になった場合は最低2年に繰り上げられます。
計算例:自家用の一般貨物トラック(法定耐用年数5年)を、新車登録から3年経過後に購入した場合
(5年 − 3年) + 3年 × 0.2
= 2年 + 0.6年
= 2.6年 → 端数切捨てで 2年
パターン2:法定耐用年数の全部が経過している場合
すでに法定耐用年数を超えて使われている中古トラックに適用します。
計算式:
中古耐用年数 = 法定耐用年数 × 0.2
こちらも端数切捨て、かつ最低2年が適用されます。
計算例:運送事業用の小型トラック(法定耐用年数3年)を、新車登録から5年経過後に購入した場合
3年 × 0.2 = 0.6年 → 最低2年保証により 2年
つまり、どのような中古トラックでも、簡便法で算出される耐用年数が2年を下回ることはありません。
簡便法が使えないケース
中古トラックを購入後、事業に供するために支出した資本的支出(修繕費ではなく資産計上される支出)が、取得価額の50%を超える場合は、簡便法による耐用年数の算定はできません(耐令3、耐通1-5-2)。
また、資本的支出が再取得価額(新品の取得価額)の50%超の場合は、新車の法定耐用年数がそのまま適用されます。大規模な架装変更やエンジン換装を伴う中古車購入では、この点に注意が必要です。
減価償却の計算方法
中古トラックの耐用年数が決まったら、実際の減価償却費を計算します。法人・個人事業主ともに、原則として次の2つの方法から選択します。
定額法
毎年同額を償却します。計算が簡単で、年度ごとの経費が一定になるため、経営計画が立てやすいのが特長です。
計算式:
毎年の償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率
償却率は国税庁の「減価償却資産の償却率等表」に掲載されています。たとえば耐用年数5年の場合、定額法の償却率は0.200です(取得価額100万円なら毎年20万円ずつ償却)。
定率法
初年度に多めに償却し、年々償却額が減少していきます。購入初期に多くの経費を計上できるため、資金繰りに余裕を持たせたい場合に有利です。
計算式:
毎年の償却費 = 未償却残高 × 定率法の償却率
定率法の償却率も同表から参照します。たとえば耐用年数5年では0.400です。ただし、償却額が「償却保証額」を下回った年度からは、定額法に切り替わります。
個人事業主が定率法を選ぶ場合は、事前に所得税の減価償却資産の償却方法の届出書を税務署に提出する必要があります(無届の場合は定額法)。法人は定率法が原則です。
経理実務上の注意点
耐用年数の算定は購入した事業年度内に
中古トラックの簡便法による耐用年数算定は、そのトラックを事業の用に供した事業年度内に行う必要があります。いったん過ぎてしまうと、後の年度で遡って算定することはできません。
固定資産台帳への登録
算定した耐用年数・償却方法・取得価額は、必ず固定資産台帳に記録します。税務調査時に、耐用年数の算定根拠(新車登録年月日・経過年数の計算過程)を説明できるようにしておきましょう。中古トラックの場合は特に、新車登録日を証明できる書類(車検証の初度登録年月)の保管が重要です。
月割計算に注意
減価償却は月単位で行います。事業年度の途中で購入した場合、その事業年度の償却費は使用月数分のみの計上です。たとえば3月決算の会社が10月にトラックを購入した場合、その年度の償却対象は10月〜3月の6か月分になります。
中古トラックの法定耐用年数は、新車の区分(運送事業用か自家用か)を正しく判定したうえで、国税庁の簡便法を用いて算定します。計算式自体はシンプルですが、運送事業用の判定基準や資本的支出がある場合の例外など、実務でつまずきやすいポイントがいくつかあります。判断に迷う場合は、税理士など専門家への確認をおすすめします。
参照元
- 国税庁「No.5404 中古資産の耐用年数」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5404.htm
- 国税庁「耐用年数(車両・運搬具/工具)」https://www.keisan.nta.go.jp/r7yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensusharyo.html
- 国税庁「耐用年数の適用等に関する取扱通達 第1章第5節 中古資産の耐用年数」https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/700525/01/01_05.htm
- 国税庁「耐用年数の適用等に関する取扱通達 2-5-6(運送事業用の判定)」https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/700525/02/02_05.htm
- 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(耐令)https://laws.e-gov.go.jp/law/340M50000040015