減価償却の計算(簡便法・「4年落ち」の意味・定額/定率)
中古トラックの減価償却、結論からいうと
中古トラックの減価償却は、次の3ステップで計算します。
- 簡便法で中古トラックの耐用年数を求める(法定耐用年数と経過年数から算出)
- 定額法か定率法を選ぶ(事業規模や利益計画に応じて判断)
- 取得価額 × 償却率で各年度の償却費を計算する
とくに実務でよく話題になる「4年落ち」の中古トラックは、簡便法で耐用年数が最短の2年になります。定率法を選べば償却率が1.000(100%)となり、購入した年度に取得価額の全額を経費計上できるケースもあります。
この記事では、経理担当者や個人事業主の方が実際に計算できるよう、簡便法の計算式、「4年落ち」の理屈、定額法と定率法の違いと選び方、そして具体的な計算例までをまとめます。
減価償却の基本をおさらいする
減価償却とは、トラックのような長期間使う資産の取得費用を、一度に全額経費にするのではなく、耐用年数にわたって分割して計上する会計処理です。
たとえば300万円のトラックを購入した場合、300万円をその年の経費にできるわけではありません。耐用年数が4年なら、4年に分けて費用化していきます。この仕組みにより、実際の収益と費用の対応関係が正しく反映され、課税の平準化も図られます。
トラックは税法上「車両運搬具」に分類され、法人も個人事業主も必ず減価償却の対象になります。
トラックの法定耐用年数(新車の場合)
まず、新車のトラックに適用される法定耐用年数をおさえます。用途と車種によって年数が異なります。
| 用途 | 車種 | 法定耐用年数 |
|---|---|---|
| 運送事業用 | 小型車(積載量2t以下) | 3年 |
| 運送事業用 | その他(2t超) | 4年 |
| 一般事業用 | ダンプ式 | 4年 |
| 一般事業用 | その他の貨物自動車 | 5年 |
「運送事業用」とは、貨物自動車運送事業法に基づく運送業として使用するトラックを指します。それ以外の建設業や農業、自社配送などで使うトラックは「一般事業用」になります。
中古トラックの耐用年数 — 簡便法の計算式
中古トラックの耐用年数は、新車の法定耐用年数をベースに「簡便法」と呼ばれる計算式で求めます。国税庁の「中古資産の耐用年数」に定められた方法で、以下の2パターンがあります。
法定耐用年数が残っている場合(一部経過)
購入した中古トラックの経過年数が、法定耐用年数に満たないケースです。たとえば、一般事業用トラック(法定耐用年数5年)を2年落ちで購入した場合が該当します。
計算式:(法定耐用年数 - 経過年数)+ 経過年数 × 0.2
計算例:一般事業用トラック(法定耐用年数5年)、2年落ち →(5年 - 2年)+ 2年 × 0.2 = 3 + 0.4 = 3.4年 → 端数切捨てで 3年
法定耐用年数を過ぎている場合 — 「4年落ち」の理屈
経過年数が法定耐用年数に達している、または超えているケースです。運送事業用トラック(法定耐用年数4年)を4年落ちで購入した場合が典型です。
計算式:法定耐用年数 × 0.2
計算例:運送事業用トラック(法定耐用年数4年)、4年落ち → 4年 × 0.2 = 0.8年
ここで重要になるのが、次のルールです。計算結果が2年未満の場合は、一律で2年として扱います(端数切捨て後の年数が2年に満たない場合も同様)。したがって、0.8年は2年となります。
この「法定耐用年数を過ぎた中古トラックは、簡便法で2年になる」という仕組みこそが、実務で「4年落ちは減価償却で有利」と言われる理由です。運送事業用トラックは4年で法定耐用年数を満了するため、4年落ち以降の中古車はすべてこの計算式が適用され、耐用年数が2年になります。
一般事業用トラック(法定耐用年数5年)の4年落ちでも、法定耐用年数の一部を経過したケースとして計算すると(5年 - 4年)+ 4年 × 0.2 = 1.8年 → 2年となり、結果は同じです。つまり、4年落ちの中古トラックは、事業用・一般用を問わず耐用年数が2年になるケースが多いのです。
耐用年数は最短2年、端数は切捨て
簡便法の計算では、次の2点を必ず押さえてください。
- 計算結果に1年未満の端数が出た場合は切捨てます(3.4年 → 3年)
- 切捨て後の年数が2年に満たない場合はすべて2年とします(0.8年 → 2年、1.8年 → 2年)
どんなに古い中古トラックでも、耐用年数が2年を下回ることはありません。
定額法と定率法 — 計算方法の違いと選び方
耐用年数が決まったら、次は償却方法を選びます。現在、法人・個人事業主ともに、建物以外は定額法か定率法のいずれかを選択できます。
定額法
毎年同じ金額を償却する方法です。計算式は以下のとおりです。
償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率
定額法の償却率は「1 ÷ 耐用年数」で決まります。たとえば耐用年数が3年なら償却率は0.334、4年なら0.250、5年なら0.200です。耐用年数が2年の場合は0.500です。
特徴は、年度ごとの償却費が一定になるため、収益と費用の計画が立てやすい点です。ただし最終年度は1円の備忘価額を残すため、最終年だけ1円少なくなります。
定率法
毎年未償却残高に一定の償却率を掛ける方法です。初年度の償却費が最も大きく、年を追うごとに減少します。
償却費 = 未償却残高 × 定率法の償却率
平成24年4月1日以降に取得した資産には、200%定率法が適用されます。定率法の償却率は「定額法の償却率 × 2」で求められ、耐用年数ごとに以下の表のとおりです。
| 耐用年数 | 定額法の償却率 | 定率法の償却率 |
|---|---|---|
| 2年 | 0.500 | 1.000 |
| 3年 | 0.334 | 0.667 |
| 4年 | 0.250 | 0.500 |
| 5年 | 0.200 | 0.400 |
注目すべきは耐用年数2年のケースです。定率法の償却率が**1.000(100%)**になるため、取得価額の全額を初年度に償却できます。これが「4年落ちの中古トラックを定率法で処理すると、1年で全額経費にできる」と言われる理由です。
定額法と定率法、どちらを選ぶべきか
選択の基準は、いつ利益を圧縮したいかです。
定率法が向いているケース:購入年度の利益が大きい、または今後数年で減収が見込まれる場合。初年度に多くの償却費を計上することで、課税所得を大きく圧縮できます。とくに4年落ちなど耐用年数2年の中古トラックを定率法で処理すれば、初年度に全額経費化できるため、節税効果は顕著です。
定額法が向いているケース:毎年の利益が安定しており、費用を平準化したい場合。あるいは、購入年度の利益が小さいため、あえて償却費を後年に分散させたい場合です。
なお、法人の場合は「定率法」を選択するには届出が必要です(届出がない場合は定額法)。個人事業主は確定申告時に選択します。また、一度選択した方法は原則として変更できないため、購入時に慎重に判断してください。
実際の数字で計算してみる
ここまで説明した計算式を使って、具体的な計算例を2つ示します。

例1:4年落ち・運送事業用・4tトラック(取得価額300万円)
条件:運送事業用トラック(法定耐用年数4年)、4年落ち、取得価額300万円、定率法を選択
Step 1:簡便法で耐用年数を求める 法定耐用年数(4年)を全部経過しているため → 4年 × 0.2 = 0.8年 → 2年未満なので耐用年数2年
Step 2:定率法の償却率を確認 耐用年数2年の定率法償却率は 1.000
Step 3:各年度の償却費を計算
| 年度 | 未償却残高 | 償却率 | 償却費 | 期末残高 |
|---|---|---|---|---|
| 1年目 | 3,000,000円 | 1.000 | 3,000,000円 | 1円(備忘価額) |
| 2年目 | 1円 | — | 0円 | 1円 |
購入年度に300万円全額を経費計上できます。これが「4年落ち・定率法」の最大の特徴です。
例2:2年落ち・一般事業用・2tトラック(取得価額200万円)
条件:一般事業用トラック(法定耐用年数5年)、2年落ち、取得価額200万円、定額法を選択
Step 1:簡便法で耐用年数を求める 法定耐用年数(5年)の一部を経過 →(5年 - 2年)+ 2年 × 0.2 = 3 + 0.4 = 3.4年 → 端数切捨てで耐用年数3年
Step 2:定額法の償却率を確認 耐用年数3年の定額法償却率は 0.334
Step 3:各年度の償却費を計算
| 年度 | 償却費(200万円 × 0.334) | 累計 | 期末残高 |
|---|---|---|---|
| 1年目 | 668,000円 | 668,000円 | 1,332,000円 |
| 2年目 | 668,000円 | 1,336,000円 | 664,000円 |
| 3年目 | 663,999円 | 1,999,999円 | 1円(備忘価額) |
3年間で均等に償却され、最終年度に備忘価額1円を残します。
減価償却をふまえた中古トラック購入のポイント
減価償却の仕組みを理解すると、中古トラックの購入判断にも活かせます。
年式と耐用年数の関係を確認する:4年落ち以上の中古トラックは耐用年数が2年になる可能性が高く、短期での経費化が可能です。購入前に、自分の事業用途での法定耐用年数と、狙っている車両の経過年数を照らし合わせておきましょう。
償却方法を購入前に決めておく:定率法を選ぶか定額法を選ぶかで、初年度の経費計上額が大きく変わります。今期と来期以降の利益見通しをもとに、税理士や会計ソフトでシミュレーションしておくことをおすすめします。
車両選びと同時に会計処理の準備を:トラックバンク(TRUCK-BANK.net)では、ボディタイプやメーカー、クラス、地域別に中古トラックの在庫を検索できます。目当ての年式や価格帯の車両を見つけたら、取得価額と経過年数をもとに、この記事の計算式で減価償却費を試算してみてください。在庫は日々入れ替わるため、気になる車両があればお気に入り登録して最新の情報を追うのが確実です。
まとめ
中古トラックの減価償却は、簡便法で耐用年数を求め、定額法か定率法で各年度の償却費を計算する、という手順で行います。
とくに重要なポイントは次の3つです。
- 簡便法の計算式:法定耐用年数を過ぎていれば「法定耐用年数 × 0.2」、残っていれば「(法定耐用年数 - 経過年数)+ 経過年数 × 0.2」。いずれも2年未満の場合は2年
- 「4年落ち」の意味:運送事業用トラック(法定耐用年数4年)の4年落ちは、簡便法で耐用年数が2年になる。定率法なら初年度に全額償却が可能
- 定額法と定率法の選択:初年度に大きく経費化したいなら定率法、平準化したいなら定額法。届出や選択変更の制限に注意
実際の計算や届出にあたっては、税理士や会計ソフトでの確認を推奨します。また、中古トラックの在庫を探す際は、トラックバンクの在庫検索から年式・価格帯を絞り込み、購入前の減価償却シミュレーションに役立ててください。
参照元
- 国税庁「No.5404 中古資産の耐用年数」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5404.htm
- 国税庁「No.2106 定額法と定率法による減価償却」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2106.htm
- 国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf
- 国税庁「200%定率法」https://www.keisan.nta.go.jp/r6yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/200teiritsuho.html
- 国税庁「新たな償却の方法3(法定耐用年数が2年の場合の計算)」https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/070412/pdf/2-05.pdf