用途・業種から選ぶ

クレーン(ユニック)車とは・用途・選び方

2026.06.23 更新 読了 約20分 編集部
建設現場で建築資材を吊り上げるユニック車(クレーン付きトラック)。キャブバック型、4段ブームを伸ばし、アウトリガーを展開して作業中

ユニック車とは、トラックの荷台付近にクレーン装置を架装し、「荷物を運ぶ」と「クレーンで吊って積み降ろす」を1台でこなせる車両の通称です。建設資材や設備機器を現場まで運び、到着後に自車のクレーンで荷下ろしまで完結できるため、フォークリフトや別途クレーンを手配する手間とコストを省けます。

この記事では、ユニック車の基本的な仕組みから、架装(クレーン機構)の構造、向いている用途・業種、中古で見るべきチェックポイント、価格の相場感までを実務目線でまとめます。

ユニック車とは──「運ぶ」と「吊る」を1台にまとめたクレーン付きトラック

「ユニック車」は通称。正式には「トラック搭載型クレーン」

「ユニック」は、クレーンメーカーである古河ユニック株式会社の製品ブランド名です。建設現場や運送業界では、メーカーを問わずクレーン付きトラック全般を「ユニック車」「ユニック」と呼ぶのが一般的になっています。

書類上の正式名称は「車両積載形トラッククレーン」または「積載形トラッククレーン」。車検証や仕様書では「クレーン付きトラック」と表記されることもあります。呼び方に惑わされず、クレーンの吊り上げ能力や最大積載量、車両総重量といった仕様の数値で判断することが大切です。

ユニック車・普通のトラック・クレーン車の違い

ユニック車は、運搬主体の「普通のトラック」と、揚重(荷を吊り上げること)専用の「クレーン車」の中間に位置する車両です。

比較項目普通のトラックユニック車クレーン車(ラフター等)
主な役割運搬運搬+積み降ろし揚重(吊り作業)
荷台ありあり(クレーンと兼用)なし(または小さい)
クレーン能力なし小型〜中型(2〜5t吊り程度)大型(10t〜100t超)
機動性高い高い(自走可能)現場間の移動に時間がかかる
典型的な現場配送全般建設・設備・造園・建材配送高層建築・橋梁・大型据付

ユニック車の最大の強みは「自走・自荷役」の両立です。資材置き場でクレーンを使って積み込み、現場まで走って、そのままクレーンで荷下ろし。運搬車両と揚重機械を別々に用意する必要がなく、少人数の現場で特に威力を発揮します。

ユニック車の架装──クレーン機構の構造と仕組み

ユニック車の心臓部は、トラックのシャシ(車台)に架装されたクレーン装置です。ここでは主要な構成部品を分解して見ていきます。

ユニック車の側面構造図。運転席(キャブ)、シャシ(車台)、ブーム(伸縮式)、油圧シリンダー、アウトリガー(張り出し脚)、フック、荷台の位置関係を示す

ブーム(クレーンの腕)──段数と作業半径が吊り能力を決める

ブームはクレーンの「腕」にあたる伸縮式の鋼構造です。油圧で内蔵されたシリンダーを伸ばし、入れ子状に格納されたブームを1段ずつ繰り出していきます。

一般的なユニック車のブームは3〜4段が多く、最大で6段まで伸びるタイプもあります。段数が多いほど最大作業半径(ブームを水平に伸ばしたときのフックまでの距離)が長くなり、遠くの荷物に届きます。ただし、ブームを伸ばすほど吊り上げられる重量は下がります(後述)。

吊り上げ荷重と作業半径──「最大値」だけで判断しない

ユニック車のカタログスペックにある「最大吊り上げ荷重(例: 2.93t、4.9t)」は、ブームを最も縮めた最短作業半径での値です。ブームを伸ばすほどテコの原理で実質的な吊り能力は下がります。

ユニック車のクレーン作業半径と吊り上げ荷重の関係を示す概念図。ブーム最短(作業半径小)で2.93t、ブーム中程度(約4m)で約1.0t、ブーム最長(約6m)で約0.5tと、ブームを伸ばすほど吊り能力が下がることを3段階で比較

たとえば、最大吊り上げ荷重2.93tのクレーンでも、作業半径4mでは1t程度、6mでは500kg程度しか吊れないことがあります。実際の作業では、クレーンの「定格総荷重表(性能表)」を確認し、必要な作業半径で必要な重量を吊れるかを照合することが不可欠です。

アウトリガー──クレーン作業時の転倒を防ぐ張り出し脚

アウトリガー(張り出し脚)は、車体の左右または前後に張り出して地面に接地させる安定装置です。クレーン作業中は車両が不安定になりやすく、アウトリガーを展開しないと転倒の危険があります。

アウトリガーには主に2つの方式があります。

  • 標準アウトリガー: 車体の左右に水平に張り出し、接地プレートで支える。コンパクトな現場に向く。
  • ハイアウトリガー: 車体全体をジャッキアップして持ち上げ、タイヤを浮かせた状態で支える。重量物の吊り上げや不整地での安定性に優れるが、高さ制限のある場所では注意が必要。

中古購入時には、アウトリガーの油圧漏れや接地プレートの腐食・変形を必ず確認します。

フックと玉掛け──吊り具と安全の基本

ブーム先端のフックにワイヤーロープやスリング(吊りベルト)を掛けて荷物を吊ります。フックの収納方式には、手動で収める「手動フック」と、油圧で自動格納する「フックイン」があります。フックインは作業効率が高い反面、機構が複雑で故障リスクも増えます。

なお、吊り荷の重心を見極めてワイヤーを掛ける「玉掛け」作業には、吊り上げ荷重1t以上のクレーンを使用する場合「玉掛け技能講習」の修了が法令で義務付けられています。

クレーンの架装位置による3つのタイプ

ユニック車は、クレーンがトラックのどこに取り付けられているかで大きく3タイプに分かれます。

ユニック車のクレーン架装位置による3タイプの比較図。左からキャブバック型(運転席背後架装・最も一般的)、荷台内架装型(全高を抑えたい現場向け)、ハイアウトリガー型(重量物・不整地向け)の3種類

  • キャブバック型(運転席背後架装): 最も一般的なタイプ。運転席と荷台の間にクレーンを設置。荷台スペースを広く取れ、前後バランスも良い。レッカー用途にも使われる。
  • 荷台内架装型: 荷台の中にクレーンを設置するタイプ。全高を抑えられるため、高さ制限のある場所や立体駐車場に入庫する必要がある現場で選ばれる。一方で荷台スペースは狭くなる。
  • ハイアウトリガー型: ハイアウトリガーを装備し、重量物の吊り上げや不整地での安定作業に特化したタイプ。重機運搬や建設廃材の積み降ろしなど、荷が重い現場で選ばれる。

ユニック車が向く用途・業種

同じユニック車でも、業種や現場条件によって最適な仕様は異なります。代表的な用途・業種別に選び方のポイントを紹介します。

建設・土木工事(資材搬入・搬出)

建設現場では、コンクリートブロック、鉄筋、型枠材、仮設資材などの搬入・搬出にユニック車が多用されます。現場にフォークリフトがない、または設置スペースがない状況では特に重宝します。

  • 推奨タイプ: キャブバック型、中型〜大型(3t〜4tクラス)
  • ポイント: 作業半径が長くなる現場(道路から離れた位置への荷下ろし)では4段以上のブームが有利。不整地の現場ではハイアウトリガーや2デフ(後輪2軸駆動)仕様を検討。
  • 架装の注意点: 鉄筋や型枠の積み降ろしは荷重が偏りやすく、アウトリガーの展開スペース確保が作業の成否を分ける。

造園・外構工事(植木・石材・ブロック)

造園やエクステリア工事では、植木、庭石、コンクリート平板、ウッドデッキ材などを運搬・設置します。住宅地の狭い道路や限られた作業スペースが前提になるため、車両サイズの選定が重要です。

  • 推奨タイプ: キャブバック型、小型〜中型(2t〜3tクラス)
  • ポイント: 住宅街の狭い道路に対応できるショートホイールベース車。植木は枝ぶりがあるため、ブームの取り回しと吊り荷の安定に注意。庭石など重心の偏る荷物は、アウトリガー設置面の地盤を確認。

設備工事(空調室外機・ポンプ・配管など)

ビルメンテナンスや設備工事では、エアコンの室外機、給排水ポンプ、ボイラー、配管ユニットなどの搬入・据付にユニック車が使われます。高所への吊り込みが必要なケースもあり、クレーンの揚程(高さ方向の到達距離)が選定の鍵になります。

  • 推奨タイプ: キャブバック型または荷台内架装型、小型〜中型(2t〜3tクラス)
  • ポイント: 高所への吊り込みにはブーム段数のほか、地上揚程(最大吊り上げ高さ)のスペックを確認。ビル陰での作業ではラジコン操作が安全性と作業効率を高める。

住宅建材・プレカット材の配送

住宅建築の現場では、プレカットされた木材、サッシ、断熱材、石膏ボードなどの配送にユニック車が活躍します。特に近年の木造住宅建築では、クレーン付きトラックが標準的な納品手段になっています。

  • 推奨タイプ: キャブバック型、中型(3t〜4tクラス)
  • ポイント: 長尺材(3m〜4m超)を運ぶ場合は荷台長の確保が必要。積載物がかさばるが比較的軽量なため、最大積載量より荷台容積で選ぶケースも多い。雨天時の養生(シート掛け)を考慮した荷台レイアウトも重要。

その他の用途(イベント設営・墓石・機械据付・レッカーなど)

  • イベント設営: ステージ機材やテントの搬入設置。短期間で多くの搬出入があるため、作業効率を重視したラジコン付きが有利。
  • 墓石: 石材店の墓石運搬・据付。重量物(1基数百kg)を精密に位置決めする必要があり、微操作のしやすいクレーンが求められる。
  • 機械据付: 工場への工作機械やプレス機の搬入。床面養生や障害物回避のためにブームの取り回し性能が重視される。
  • レッカー(事故車両の移動): キャブバック型ユニック車にブーム先端のアタッチメントを装着し、故障・事故車両の引き上げや積載に使用。JAFのロードサービス車両もこのタイプ。

ユニック車の操作に必要な免許・資格

ユニック車を扱うには、公道を走るための運転免許と、クレーンを操作するための資格の両方が必要です。

公道走行に必要な運転免許

運転に必要な免許は、車検証の「車両総重量」で決まります。

車両総重量必要な運転免許
3.5t未満普通免許(平成29年3月12日以降取得者は準中型免許)
3.5t以上 5t未満準中型免許
5t以上 11t未満中型免許
11t以上大型免許

2tクラスのユニック車でも、クレーン架装の重量が加わることで車両総重量が3.5tを超えるケースがあります。車両の通称(2t、4t)ではなく、必ず車検証の数値で免許要件を照合してください。

クレーン操作に必要な資格

吊り上げ荷重に応じて、必要な資格・講習が変わります。

吊り上げ荷重必要な資格・講習
0.5t未満資格不要(ただし事業者による安全衛生教育が望ましい)
0.5t以上 1t未満小型移動式クレーン運転技能講習 または 同特別教育
1t以上 5t未満小型移動式クレーン運転技能講習
5t以上移動式クレーン運転士免許

一般的な2t〜4tクラスのユニック車(最大吊り上げ荷重2.6t〜4.9t程度)では「小型移動式クレーン運転技能講習」の修了が必要です。さらに、吊り上げ荷重1t以上のクレーンで玉掛け作業を行う場合は「玉掛け技能講習」も必須です。

中古ユニック車を選ぶときのチェックポイント

中古ユニック車は新車の40〜70%程度の価格で導入できるため、多くの事業者が選ぶ現実的な選択肢です。ただし、ユニック車はトラック本体に加えてクレーン架装の状態も見極める必要があり、チェック項目は一般的な中古トラックより多くなります。

クレーン架装の劣化──油圧系の漏れとブームの状態

  • 油圧シリンダーとホースのオイル漏れ: ブーム伸縮シリンダー、旋回モーター、アウトリガーシリンダーの周辺やホース継ぎ手にオイルのにじみ・滴りがないか確認。微量のにじみでも、放置すると作動不良や安全上の問題につながる。
  • ブームの伸縮・旋回動作: 実際に操作させてもらい、全段をスムーズに伸縮できるか、異音や引っかかりがないか確認。旋回動作にガタやムラがある場合は、旋回ベアリングやギアの摩耗が疑われる。
  • ワイヤーロープとフック: ワイヤーロープの素線切れ、キンク(折れ曲がり)、摩耗、サビを点検。ブーム先端のシーブ(滑車)の溝の摩耗も合わせて確認する。

アウトリガーの状態と油圧漏れ

アウトリガーは、展開・収納の動作確認に加え、以下の点を重点的に見ます。

  • シリンダーのオイル漏れ・ロッドのサビや傷
  • 接地プレートの歪み・腐食・欠損
  • 張り出しビームのガタや曲がり
  • 安全ロック機構の作動確認(走行中の誤展開防止装置)

アウトリガーの不具合は転倒事故に直結するため、中古購入時の最重要チェック項目の一つです。

フレーム・サスペンションへの負荷

ユニック車はクレーン作業時に車体フレームへ大きなねじれ荷重がかかります。以下の点を確認します。

  • フレームのクラック(亀裂): 特にクレーン取り付け部周辺とリアサスペンション取り付け部。塗装の剥がれやサビの筋は亀裂のサインの可能性がある。
  • 架装サブフレームの状態: クレーンを載せるためにシャシ上に追加されたサブフレーム(補強フレーム)の溶接部やボルトの緩み。
  • リーフスプリングのへたり: 車高の左右差、スプリングの破損や枚数不足を目視確認。

年式と走行距離の目安

  • 年式: ユニック車の実用寿命は概ね10〜15年。平成28年(2016年)以降の車両はポスト・ポスト新長期排ガス規制に適合し、都市部の規制地域でも稼働しやすい。クレーン装置は車両より長持ちするケースもあるが、油圧機器は年数とともにシール類の劣化が進む。
  • 走行距離: ユニック車は一般の配送トラックより走行距離が少ない傾向にある(現場間の移動距離が短いため)。ただし、10万km未満でもクレーンの使用頻度が高い車両は架装へのダメージが蓄積していることがある。30万km超の車両はエンジン・ミッションのオーバーホール歴を確認したい。

ラジコン操作の有無と動作確認

ラジコン(無線操縦装置)付きのユニック車は、操作者が荷物の近くで確認しながらクレーンを動かせるため、安全性と作業効率が格段に向上します。中古購入時は、以下の点を確認します。

  • 送信機・受信機の動作(応答遅延・操作不能がないか)
  • 予備バッテリーの有無と充電状態
  • 有線バックアップ操作への切り替えが正常に機能するか

ラジコン付き車両は数十万円〜百万円以上の価格差になることがあるため、装備の有無と動作状態を必ずチェックします。

ユニック車の価格相場──新車と中古の目安

新車の価格帯

ユニック車の新車価格は、トラック本体にクレーン架装費、各種オプション、登録・納車費用が加算された「完成車総額」で見る必要があります。以下は2026年時点の一般的な目安です。

車格完成車総額の目安備考
2t〜3t級約900万〜1,600万円前後4段ブーム・ラジコン付きで上部に振れる
4t級約1,400万〜2,400万円前後ブーム段数・アウトリガー仕様・架装内容で差が大きい

上記は参考値であり、メーカー・販売店・架装内容・納期によって変動します。

中古の価格帯

中古ユニック車の価格は、年式・走行距離・クレーン仕様・整備状態で大きく変わります。以下は2026年6月時点の中古車販売サイトの掲載例を基にした目安です。

年式の目安2tクラス3tクラス4tクラス
0〜5年落ち約650万〜950万円約700万〜1,000万円約800万〜1,200万円以上
6〜10年落ち約400万〜700万円約450万〜800万円約550万〜1,000万円
11〜15年落ち約280万〜550万円約350万〜600万円約430万〜700万円
16年以上約150万〜450万円約250万〜550万円約350万〜600万円

実際の成約価格ではなく、あくまで市場の掲載価格帯の参考値です。車両本体価格に加えて、登録費用・陸送費・車検整備費・購入直後の修理予備費も考慮した総予算で判断してください。

コストを左右する主な要素

  • ブーム段数: 3段→4段で価格が上がる。現場で必要な作業半径を基準に選ぶ。
  • ラジコン: 数十万円〜百万円以上の価格差。作業頻度と安全性のバランスで判断。
  • フックイン: 油圧自動格納式。価格は上がるが、頻繁に荷役を行う現場では作業効率が大きく変わる。
  • アウトリガー仕様: ハイアウトリガーは標準タイプより高価だが、重量物の吊り上げ安定性で優位。
  • 車検・整備の有無: 中古車は「車検付き・整備済み」と「現状渡し」で総コストが大きく変わるため、支払総額での比較が必須。

まとめ──現場に合ったユニック車を、トラックとクレーンの両面から見極める

ユニック車は、単なる「クレーンが付いたトラック」ではなく、車格・ブーム段数・アウトリガー方式・架装位置の組み合わせによって、適する現場と作業内容が大きく変わります。

  • ユニック車選びの第一歩は、何を・どこで・どれだけ吊るかを整理すること。吊り荷の重量と必要な作業半径が、クレーンのスペックを決める最大の要素です。
  • 中古ユニック車では、走行距離や年式だけでなく、クレーン架装(油圧系・ブーム・アウトリガー)の状態が購入後の維持費と稼働率を左右します。
  • 相場は車格と年式で大きく変わるため、複数の在庫を比較して適正価格を見極めることが欠かせません。

実際の在庫を探す際は、ボディタイプ「クレーン車」をはじめ、メーカー・クラス(サイズ)・地域別に検索できるトラックバンク(TRUCK-BANK.net)の中古トラック在庫検索が便利です。気になる車両はお気に入りに保存して比較したり、販売店に在庫確認・見積もり依頼ができます。購入前には本記事のチェック項目を手に、ぜひ実車を見に行ってみてください。

参照元

相場を確かめながら、一台を探す

トラックバンクならボディタイプ・メーカー・地域別で、いまの在庫と価格をまとめて検索できます。

中古トラックを検索する