用途・業種から選ぶ

アームロール車とは・用途・選び方

2026.06.23 更新 読了 約9分 編集部
アームロール車が建設現場で油圧アームを使って産廃用コンテナを荷台に引き上げている情景

アームロール車とは、油圧式のアームを使って荷台のコンテナ(荷箱)を自力で積み降ろしできるトラックのことです。正式名称は「脱着装置付きコンテナ専用車」または「脱着ボディシステム車」。近年は新車・中古を問わず需要が高く、特に産業廃棄物や建設廃材の回収現場で広く使われています。

本記事では、アームロール車の基本構造から主な用途、中古車を選ぶ際のチェックポイント、価格相場の目安まで、実務に役立つ情報をまとめました。

アームロール車の構造と仕組み

アームロール車の最大の特徴は、車両後部に備えた油圧式のアーム(腕)です。このアームの先端にあるフックをコンテナに引っかけ、チルト(傾斜)機構とアームの伸縮で荷台へ引き上げ、シャシー(車台)上に固定します。降ろす際は逆の手順で、コンテナ後部のローラーを接地させながらゆっくりと地面に置きます。

一連の脱着作業は運転席または無線のリモコンで操作でき、クレーンやフォークリフトなどの外部機材を必要としません。この「自力脱着」が、アームロール車最大の強みです。

アームロール車の脱着動作3コマ図解。①フックをコンテナにかける → ②アームで引き上げる → ③シャシー上に積載完了。各部品(アーム・フック・チルト機構・ローラー・ジャッキ・コンテナ・シャシー)を指し線付きで表示。

また、多くの車両はダンプアップ機能も備えており、積んだコンテナごと荷台を傾けて中身を排出できます。運搬・排出・コンテナ交換を1台で完結できるため、作業効率と車両回転率の高さが評価されています。

なお、アームを2本装備し、より重いコンテナの脱着や安定性を高めた「ツインホイスト」仕様もあり、重作業向けの現場で選ばれています。

フックロールとの違い

「アームロール」と「フックロール」、名前は異なりますが、構造的にはどちらも脱着装置付きコンテナ専用車です。違いは製造メーカーにあります。

通称製造メーカーイメージカラー
アームロール新明和工業株式会社
フックロール極東開発工業株式会社

その他、カーゴテック(ヒアブ部門)の「マルチリフト」、イワフジ工業の「ロールリフト」など、各メーカーが独自の商品名で展開しています。

コンテナは基本的に共通規格で作られており、アームロールでもフックロールでも相互に利用できます。ただし互換性の目安として、日本自動車車体工業会(JABIA)発行の「制作基準互換性適合シール」が貼付されているかを確認するのが確実です。安価な海外製コンテナなどは互換性や強度に問題がある場合もあるため、注意が必要です。

アームロール車が向く用途・業種

アームロール車が最も多く使われているのは、産業廃棄物や建設廃材の回収・運搬です。現場に空のコンテナを設置しておき、満杯になったら車両で回収し、新しい空コンテナと交換するという運用が主流です。車両本体は待機する必要がなく、複数現場を1台で回れるため、車両の稼働率が大きく向上します。

また、コンテナを付け替えることで、1台の車両を多用途に使える点も見逃せません。代表的なコンテナの種類と用途は次のとおりです。

  • 平ボディ型コンテナ:一般貨物、建材、スクラップ運搬
  • ウィングカバー付きコンテナ:雨天時の荷物保護、パレット積み貨物
  • 保冷バンコンテナ:食品・温度管理が必要な貨物
  • パッカーコンテナ:圧縮機能付きで一般ごみ収集
  • タンクコンテナ:液体・粉体の運搬
  • バルクコンテナ:土砂・砂利・鉱石などのばら積み

このようにコンテナを交換するだけで異なる貨物に対応できるため、運送業・建設業・農業・製造業など、幅広い業種で導入が進んでいます。

中古アームロール車の見るべきポイント

中古のアームロール車を選ぶ際は、通常のトラックと同じシャシー側のチェックに加えて、架装部分の状態確認が欠かせません。以下のポイントを重点的に見てください。

油圧装置とアームの動作確認

実車確認では、必ずアームの伸縮・チルトの動作を一通り試し、異音・ガタつき・油漏れがないかをチェックします。油圧ホースのひび割れやシリンダーのオイル滲みは、修理費用が高額になりやすい箇所です。PTO(パワーテイクオフ)のギヤ比が適正かも、動作のスムーズさで判断できます。

載せ替え車両(改造車)の見分け方

中古市場では、別の車両にアームロール架装を「載せ替え」た車両が出回っています。外観をきれいに仕上げているケースも多く、見た目だけで判断するのは危険です。載せ替え車両は溶接強度不足やフレームのねじれ、部品の適合不良を起こしやすく、稼働後の重大事故につながるリスクがあります。

見分けるポイントは、架装メーカーの製造銘板(型式・製造番号)と車検証の記載が一致しているか、フレームの溶接痕が不自然でないか、といった点です。

正常なアームロール架装と載せ替え車両の比較図解。左:メーカー純正架装(チェックマーク付き)、右:載せ替え車両の危険箇所(フレーム溶接痕に×印、ねじれに赤破線、適合不良に赤矢印、警告マーク付き)。

不安な場合は、架装メーカーや信頼できる販売店に確認しましょう。

コンテナの状態と互換性

付属するコンテナの底板やフレームの腐食・変形、観音扉の開閉具合も入念に確認します。特に産廃用途で使われていたコンテナは、内部が腐食性の廃液などで傷んでいる場合があります。また、JABIA互換性シールの有無を確認し、他メーカーのコンテナとの互換性が担保されているかも押さえておきましょう。

メンテナンス履歴と年式

架装部分の定期メンテナンス記録がある車両は信頼性が高く、優先して検討する価値があります。特に油圧オイルの交換頻度やシリンダーパッキンの交換履歴は重要な指標です。また、年式によって適用される排ガス規制(NOx・PM規制など)が変わるため、運行エリアの規制に適合しているかの確認も必要です。

アームロール車の価格相場

中古アームロール車の価格は、サイズ・年式・走行距離・架装メーカー・コンテナの有無によって大きく変動します。以下は一般的な目安です(2026年6月時点の市場流通価格を参考にした概算です)。

サイズ年式10年以上(目安)年式5〜10年(目安)年式5年未満(目安)
2〜3t級100万〜300万円300万〜600万円600万〜900万円
4t級150万〜400万円400万〜800万円800万〜1,200万円
大型(10t以上)300万〜600万円600万〜1,200万円1,200万〜2,000万円超

あくまで目安であり、ツインホイスト仕様や低走行車、新品コンテナ付きなど条件が良ければさらに高値になります。一方、新車のアームロール車は架装込みで1,000万〜2,500万円程度が一般的で、中古車は新車の半額以下で入手できるケースも少なくありません。購入時は車両価格だけでなく、コンテナの調達費用や架装のメンテナンス予算も含めて検討してください。

トラックバンクでアームロール車を探す

トラックバンクでは、全国の販売店が出品する中古アームロール車をまとめて検索できます。ボディタイプで「アームロール」を選択するだけで、2tクラスから大型まで幅広い在庫を一覧表示。メーカーやクラス(大型・中型・小型)、年式、価格帯、地域別の絞り込みも可能です。

気になる車両はお気に入りに保存して比較検討したり、販売店へ一括で在庫確認・見積もり依頼を送ることができます。また、トラックバンクの相場情報や販売店検索機能を使えば、予算や地域に合った一台を効率的に探せます。中古パーツが必要な場合は、姉妹サイト「パーツバンク.net」での検索も活用してください。

まずは在庫をチェックし、実車確認とあわせて、本記事で紹介したチェックポイントを活用しながら納得のいく一台を見つけてください。

参照元

  • 新明和工業株式会社 特装車事業部「アームロール」製品ページ
  • 日本自動車車体工業会(JABIA)「制作基準互換性適合シール」について
  • トラック市「アームロールとは?用途や役割・ツインホイスト・操作方法などをわかりやすく解説」
  • GROOWAVE「アームロールとは?操作手順や注意点、フックロールとの違いなど解説」
  • ヤマダボディーワークス「アームロールとは?基本的な操作方法や注意点、代表的なメーカーを紹介」
  • トラック流通センター「アームロール車のベース車両の人気メーカーやモデルと共に中古車両購入時のチェックポイントなどを紹介」
  • 井野口自動車整備工場「アームロール車の載せ替えに関する注意点」

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