用途・業種から選ぶ

架装(ボディタイプ)一覧と用途別の選び方・総覧

2026.08.14 更新 読了 約18分 編集部
トラックの架装(ボディタイプ)が並ぶ物流基地の情景。手前に平ボディ、隣にアルミバン、奥にウイング車やダンプ、クレーン付きトラックが見え、架装の多様性を1枚で感じさせる。

トラックの架装(ボディタイプ)は、運ぶ荷物や働く現場によって選ぶべき種類が大きく変わります。この記事では、トラックの架装全12種類を一覧で整理し、運搬物や業種から逆引きできる対応表、そして失敗しない選び方の3ステップまでをまとめました。「どの架装が自分の用途に合うのか」を知りたい方は、まずは一覧表をざっと眺め、次に用途別の対応表で候補を絞り込んでください。

トラックの架装とは ─ 基本構造と役割

トラックは「シャーシ(車台)」と「架装(荷台部分)」の2つで構成されています。シャーシは、エンジンやフレーム、運転席(キャブ)など走行に必要な土台部分で、いすゞ・日野・三菱ふそう・UDトラックスなどのトラックメーカーが製造します。一方、架装は荷台にあたる部分で、「上物(うわもの)」や「ボディ」とも呼ばれ、専門の架装メーカー(極東開発工業、新明和工業、日本フルハーフ、北村製作所など)が用途に合わせて設計・製造します。

つまり、同じシャーシでもどの架装を載せるかで、トラックの役割はまったく変わります。平ボディなら建材、バンなら精密機器、冷凍車なら食品、というように、架装選びがそのまま「トラックの使い道」を決めるのです。

架装(ボディタイプ)全12種類を一覧で解説

まずは主要な架装12種類を一覧で把握しましょう。以下の表で、各架装の用途・適した業種・簡単な特徴をまとめました。

架装名主な運搬物・用途適した業種特徴
平ボディ建材、鋼材、長尺物、パレット貨物建設業、農業、資材運搬屋根なし。3方開き。フォークリフト積み下ろしに最適
バン(アルミバン・箱車)一般貨物、精密機器、家具、引越荷物運送業、引越業、流通箱型で雨風・盗難を防ぐ。温度管理なし
ウイングパレット貨物、工業製品運送業、物流センター側面が跳ね上がりフォークリフト作業が高速。長距離輸送向き
冷凍車・保冷車冷凍食品、生鮮品、医薬品食品配送、医療物流温度管理可能。冷凍(-20℃前後)と保冷(0〜10℃)の区別あり
ダンプ・ミキサー土砂、砕石、生コンクリート建設業、土木業荷台を傾けて荷下ろし。ミキサーは攪拌しながら運搬
クレーン付き(ユニック車)重量物、建設資材、機械建設業、設備工事自車で吊り上げ・積み下ろし可能。現場での機動力が高い
タンクローリー液体(燃料、薬品、水、牛乳など)石油、化学、食品円筒タンク。積載物によって材質(ステンレス・アルミ等)が異なる
トラクタ・トレーラー海上コンテナ、長距離大量貨物長距離運送、港運牽引車+荷台の分離構造。積載量が大きく高速輸送向き
キャリアカー乗用車、小型トラック自動車運送、中古車販売多段積載で複数台を一度に輸送
重機運搬車油圧ショベル、ブルドーザー等建設業、レンタル重機低床構造で大型重機の自走積載が可能
バス人員輸送観光、送迎、路線バス旅客用。マイクロバスから大型観光バスまで
その他特殊架装ゴミ(塵芥車)、高所作業、散水、コンテナ等各専門業種用途特化型。業務に合わせたカスタム架装

トラックの架装全12種類のシルエット一覧図。左から平ボディ、バン、ウイング、冷凍車、ダンプ、ミキサー、クレーン付き、タンクローリー、トラクタ+トレーラー、キャリアカー、重機運搬車、バスの外観を横一列に並べ、各名称をラベルで示す。

以下、各架装の詳細と選定のポイントを補足します。

平ボディ

荷台に屋根がなく、左右と後方の3方向に「アオリ」と呼ばれる側板を備えた最もシンプルな架装です。アオリを倒せば荷台がフラットになるため、フォークリフトやクレーンでの積み下ろしが素早くできます。軽トラックから大型まで幅広く使われ、建設現場や農業でよく見かけます。ただし屋根がないため、雨や直射日光に弱い荷物には不向きです。どうしても平ボディで運びたい場合は、シート掛けや幌(ほろ)で対応します。

バン(アルミバン・箱車)

荷台がアルミ製の箱で覆われた架装で、「アルミバン」とも呼ばれます。雨風やホコリ、盗難から荷物を守れるため、引越しや宅配、精密機器の輸送に広く使われます。扉は後方のみの片開き・両開きタイプが一般的ですが、側面にもドアがある「サイドバン」なら狭い場所でも積み下ろし可能です。温度管理が必要ない一般貨物の運送では、最も採用率の高い架装の一つです。

ウイング

バンと同じ箱型ですが、側面全体が翼(ウイング)のように跳ね上がる構造が最大の特徴です。側面が大きく開くため、フォークリフトが横から直接荷役でき、作業時間を大幅に短縮できます。物流センター間の長距離定期便で特に重宝され、パレット単位の貨物輸送に適しています。開閉には油圧装置を使うため、平ボディやバンより車両価格・メンテナンス費用は高めです。

冷凍車・保冷車

バンの箱部分に断熱材と冷凍機を備えた架装です。設定温度帯によって「冷凍車」(-20℃前後)、「冷蔵車」(0〜5℃程度)、「保冷車」(外気温より低く保つが凍らせない)に分かれます。食品配送や医薬品輸送に不可欠で、温度管理の正確さが品質を左右します。中古で購入する際は、冷凍機の稼働時間やメンテナンス履歴を必ず確認しましょう。

ダンプ・ミキサー

荷台を油圧で傾けて荷物を一気に降ろせる架装です。土砂・砕石・建設廃材などの運搬に使われ、土木・建設現場では欠かせません。ミキサー車は生コンクリートを攪拌しながら運ぶ専用架装で、現場到着までに固まらないようドラムを回転させ続けます。ダンプは平ボディと違い積み下ろしに人手や重機が不要なため、ばら積み貨物の運搬効率が非常に高いのが利点です。

クレーン付きトラック(ユニック車)

荷台に小型クレーンを搭載した架装で、自車だけで重量物の積み下ろしができます。「ユニック」は古河ユニック株式会社の登録商標ですが、現場ではクレーン付きトラック全般を指す通称として使われています。建設資材やエアコン室外機、機械設備など、人力では扱えない重量物を現場で直接積み降ろせるのが最大の強みです。クレーンの最大吊り上げ荷重(2.9t、4.9tなど)を用途に合わせて選びます。

タンクローリー

液体や粉粒体を運ぶための円筒形タンクを備えた架装です。運ぶものによってタンクの材質や構造が異なり、ガソリン・軽油には鋼製タンク、食品や薬品にはステンレスタンクが使われます。危険物を運ぶ場合は、消防法に基づく資格や車両設備が求められます。給油所への燃料配送、牛乳の集乳、水道のない地域への給水など、社会インフラを支える架装です。

トラクタ・トレーラー

牽引する「トラクタ(ヘッド)」と荷物を載せる「トレーラー」に分離できる構造です。トレーラー部分を付け替えることで、平ボディ・バン・タンク・コンテナなど多彩な荷台を使い分けられます。積載量が大きく高速道路での長距離輸送に適しており、海運コンテナの陸上輸送(ドレージ)でも主力です。運転には牽引免許が必要です。

キャリアカー

乗用車や小型トラックを複数台積載できる多段式の架装です。新車のディーラー配送や中古車のオークション輸送、故障車のレッカー移動などで活躍します。積載方法は、車両を自走で載せるタイプと、クレーンで吊り上げるタイプがあります。積載台数は車両サイズにより2台から最大10台程度まで。

重機運搬車

油圧ショベルやブルドーザーなどの建設重機を運ぶための低床架装です。荷台が地面に近く、重機が自走で乗り降りできるスロープ(ラダー)を備えています。積載する重機の重量・寸法に合わせて車両規模が決まり、大型になるとトレーラータイプが一般的です。

バス

人を運ぶための架装で、マイクロバス(29人以下)から大型観光バスまでサイズ展開があります。送迎バス、路線バス、観光バスなど用途に応じて座席配置や内装が異なります。中古バスは、送迎用やキャンピングカーへの改造ベースとしても流通しています。

その他特殊架装

上記以外にも、業務内容に特化した多様な架装があります。塵芥車(ゴミ収集車)は圧縮機能付きの箱と投入装置を備え、散水車はタンクと散水装置、高所作業車は伸縮ブームと作業台、コンテナ車は脱着装置(アームロール)を備えます。いずれも専用設計のため、汎用架装より高額で流通台数も限られます。

【用途別】運搬物から逆引きする架装マッチング表

「何を運ぶか」が決まっているなら、以下の表で適した架装を逆引きできます。

運びたい荷物適した架装(第一候補)選定のポイント
建材・鋼材・長尺パイプ平ボディ屋根がない分、長尺物も積みやすい。アオリを倒して横から積載可
段ボール・日用品・雑貨バン雨風・汚れを防ぐ。パレット積みならウイングも選択肢
パレット貨物(工場間・物流センター間)ウイング側面全開でフォークリフト作業が高速。長距離定期便に最適
冷凍食品・アイス冷凍車-20℃前後を維持。配送中に温度記録が取れる機種が安心
生鮮食品(野菜・肉・魚)保冷車凍らせず低温キープ。ドア開閉の多い配送なら保冷バン
土砂・砕石・建設廃材ダンプ荷台を傾けて一気に荷下ろし。現場に重機がない場合の第一選択
生コンクリートミキサー車攪拌しながら運搬。現場到着までの時間と距離を考慮
エアコン室外機・建設機械(1t未満)クレーン付き(ユニック)現場で自車クレーンを使えば、荷下ろしに別途重機不要
ガソリン・軽油タンクローリー(危険物対応)危険物取扱者資格と適合車両が必要
乗用車(新車・中古車)キャリアカーまとめて複数台輸送。台数・車格に合ったサイズを選択
油圧ショベル(0.45m³クラス)重機運搬車低床+ラダー付き。重機の自重と寸法で車両サイズを決定
海上コンテナ(20ft/40ft)トラクタ+コンテナトレーラー牽引免許必須。コンテナ専用シャーシか汎用トレーラーか選択
ゴミ・廃棄物塵芥車(特殊架装)圧縮機能の有無、積載量、排出方法で選定

運搬物から架装、そして積み下ろし現場までのフロー図。左に「建材・鋼材」「冷凍食品」「パレット貨物」「土砂」「液体燃料」「乗用車」の荷物アイコン、中央に対応する「平ボディ」「冷凍車」「ウイング」「ダンプ」「タンクローリー」「キャリアカー」の架装アイコン、右に「建設現場」「スーパー配送先」「物流センター」「土木現場」「給油所」などの現場アイコンを矢印でつなぐ。

【業種別】おすすめ架装の組み合わせ

業種ごとに「主戦力」となる架装と、あると便利なサブ架装を整理しました。

業種主力となる架装サブで持つと便利な架装
建設業(ゼネコン・土木)ダンプ、クレーン付き(ユニック)平ボディ(資材運搬)、重機運搬車(自社重機あり)
運送業(一般貨物)バン、ウイング平ボディ(長尺・特殊貨物対応)
食品配送冷凍車、保冷車バン(常温品の同送用)
引越業バン平ボディ(大型家具・家電の一時積載)
建設資材販売平ボディ、クレーン付きダンプ(砂利・土砂の配送)
農業平ボディ(軽トラック中心)ダンプ(堆肥・収穫物のばら積み)
燃料販売(給油所)タンクローリー平ボディ(ドラム缶輸送)
自動車販売・整備キャリアカー平ボディ(部品・タイヤ運搬)

架装選びの3ステップ

「どの架装にすればいいかわからない」という方は、以下の3ステップで順に考えてみてください。

架装選びの3ステップの概念フロー図。Step 1「運ぶ荷物を明確に(形状・重量・温度)」、Step 2「積み下ろし環境を確認(フォークリフトの有無・重機の有無・手積み可否)」、Step 3「予算とコストを比較(導入価格・メンテナンス費・中古状態チェック)」を上から下へ矢印でつなぎ、右下に「最適な架装を選ぶ」のゴールを示す。

Step 1:運ぶ荷物の「形状・重量・温度」を明確にする

最初に、普段どんな荷物を運ぶのかを洗い出します。ポイントは3つです。

  • 形状: 長尺か、パレット積みか、ばら積みか。形状によって積み下ろし方法が決まります。
  • 重量: 架装自体の重さを差し引いた「最大積載量」が運びたい荷物の総重量を上回っているか。重量物ならクレーン付きが有利です。
  • 温度: 常温でよいか、冷凍・冷蔵が必要か。温度管理が必要なら冷凍車・保冷車一択です。

この3つを書き出すだけで、候補となる架装はかなり絞られます。

Step 2:積み下ろしの環境・設備を確認する

次に、荷物の積み下ろしが「どこで・誰が・どうやって」行われるかを考えます。

  • フォークリフトがある物流センター: ウイングなら側面から素早く荷役可能。バンでも後方から積み下ろしできます。
  • 重機のない現場(建設現場など): クレーン付きトラックなら自車で吊り下ろせるため、現場到着後の待ち時間をゼロにできます。
  • 手積み・手降ろしが多い: バン(特にサイドバン)なら、荷台へのアクセスが容易です。平ボディはアオリを倒せば手が届きやすい半面、シート掛けの手間があります。

Step 3:予算とランニングコストを比較する

最後に、導入予算と維持費を考えます。架装によって車両価格や維持費に差があります。

  • 平ボディ: 構造がシンプルで比較的安価。メンテナンスも少ない。
  • バン: アルミ箱の分、平ボディより高め。ただし中古流通量が多く選択肢が豊富。
  • ウイング: 油圧装置があるためバンより割高。定期的な油圧メンテナンスが必要。
  • 冷凍車・保冷車: 冷凍機の価格が上乗せされ、電気代・冷凍機メンテナンス費も継続的に発生。
  • クレーン付き: クレーン装置の分高額。クレーンの年次点検費用も見込む。
  • 特殊架装: 生産数が限られるため高額で、中古の流通も少ない。

中古トラックを検討する場合、架装部分の状態(サビ・歪み・油圧装置の動作・冷凍機の稼働時間など)が価格と寿命を大きく左右します。実車確認を必ず行いましょう。

中古トラックで架装を選ぶときの注意点

架装は使用環境や積み下ろしの頻度によって劣化度合いが大きく異なります。中古車を選ぶ際は、以下のポイントを実車でチェックしてください。

  • サビ・腐食: 特にダンプや平ボディは土砂・雨水にさらされる機会が多く、床板やアオリの腐食が進みやすい部分です。バンやウイングも屋根や側面パネルの腐食に注意。
  • 油圧装置の動作: ウイング・ダンプ・クレーンは油圧系統の作動確認が必須。シリンダーからのオイル漏れ、異音、動作の遅れがないかを確認します。
  • 冷凍機の状態: 冷凍車・保冷車は、冷凍機の稼働時間(アワーメーター)とメンテナンス記録が最重要。10,000時間を超えるとオーバーホールが必要になるケースが多いです。
  • 二次架装・改造の有無: 前オーナーが追加で取り付けたパワーゲート(テールゲートリフター)や幌装置などは、取付状態や作動、車検対応の有無を確認してください。

トラックバンクで目的の架装から在庫を探す

TRUCK-BANK.net(トラックバンク)では、ボディタイプ(架装の種類)から中古トラック在庫を横断検索できます。「平ボディ」「バン」「冷凍車・保冷車」「ダンプ」「クレーン付き」など、本記事で紹介した全カテゴリに対応した絞り込みが可能です。メーカーやクラス(大型・中型・小型・軽)との組み合わせ検索もでき、お気に入り車両の比較や一括在庫確認、見積もり依頼にも対応しています。

よくある質問

Q. 架装は後から変更できますか? 可能ですが、架装の載せ替えは数十万円から百万円以上の費用がかかり、車検上の構造変更手続きも必要です。購入時に用途に合った架装を選ぶほうが現実的です。

Q. 架装費用の目安はどのくらいですか? 架装の種類とサイズによります。平ボディで数十万円、バンで百万円前後、冷凍車やクレーン付きは数百万円が目安です。新車架装か中古架装かでも大きく変わります。

Q. 特殊架装はどこに依頼すればいいですか? 地域の架装メーカーやボディーメーカーが対応します。極東開発工業、新明和工業、日本フルハーフ、北村製作所などが全国展開しています。中古の特殊架装車両は流通が限られるため、まずは中古トラック検索サイトで在庫の有無を探すのが早道です。

まとめ

トラックの架装(ボディタイプ)は全12種類に大別され、運ぶ荷物の形状・重量・温度と、積み下ろしの環境によって最適な選択肢が決まります。架装選びに迷ったら、まず「運ぶ荷物(形状・重量・温度)→積み下ろし環境→予算」の3ステップで候補を絞り込み、一覧表や用途別対応表で該当する架装を確認してください。TRUCK-BANK.net のボディタイプ別検索を使えば、希望の架装を載せた中古トラックを効率よく探せます。

参照元:

  • トラックバンク(TRUCK-BANK.net)ボディタイプ一覧
  • 極東開発工業株式会社 製品情報
  • 新明和工業株式会社 特装車事業
  • 日本フルハーフ株式会社 製品紹介
  • 北村製作所株式会社 製品案内

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