大型トラックの減価償却・税金
大型トラックの購入を検討するとき、気になるのが減価償却と税金です。大型トラックの法定耐用年数は、ダンプ式で4年、それ以外の貨物車で5年。中古で購入する場合は「簡便法」により最短2年での償却も可能です。自動車税は最大積載量に応じて年額8,000円〜76,500円(自家用)、自動車重量税は車両総重量に応じて年額換算で1万円台後半〜5万円超と、まとまったコストになります。この記事では、大型トラックの減価償却の仕組みから中古車の計算方法、税金の実額、節税の考え方までを整理します。
大型トラックの法定耐用年数
減価償却とは、高額な資産を取得した際に、その費用を法定耐用年数にわたって分割して経費計上する会計上のルールです。大型トラックは数百万円〜数千万円の資産であり、一括で費用計上せず、毎年の償却費として損金に算入します。
新車の法定耐用年数
大型トラックの法定耐用年数は、国税庁が定める「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表により、次のとおり区分されます。
| 車種 | 法定耐用年数 |
|---|---|
| ダンプ式貨物自動車 | 4年 |
| その他の貨物自動車(ウイング・平ボディ・バン・冷凍車など) | 5年 |

ここでいう「大型トラック」とは、法律上の明確な線引きではなく、実務上は車両総重量8t超または最大積載量5t超の車両を指すことが一般的です。ただし法定耐用年数は、積載量や総重量ではなくダンプ式か否かだけで決まります。そのため、10t積みの平ボディでも5年、4t積みのダンプでも4年です。
事業用(緑ナンバー)か自家用(白ナンバー)かによっても耐用年数は変わりません。自動車税や重量税と異なり、減価償却の耐用年数は使用用途で区分されない点に注意してください。
定額法と定率法
減価償却の計算方法には、主に定額法と定率法の2種類があります。
定額法は、毎年同じ金額を償却する方法です。たとえば2,000万円の大型トラック(法定耐用年数5年、定額法の償却率0.200)の場合、毎年400万円ずつ償却します。計算が単純で、年度ごとの利益計画が立てやすいのが特徴です。
定率法は、毎年の未償却残高に一定の償却率を掛けて償却額を算出する方法です。法定耐用年数5年の場合、定率法の償却率は0.500(250%定率法)となり、初年度に最も大きな償却費を計上します。同じ2,000万円のトラックでも、初年度は約1,000万円を償却でき、早期に多くの経費を計上したい場合に有利です。
個人事業主は定額法が原則、法人は定率法が原則ですが、届出により変更も可能です。どちらを選ぶかは、事業の利益状況や資金計画によって判断します。
中古トラックの耐用年数と償却計算
中古で購入した大型トラックは、新車より短い耐用年数で償却できるため、節税効果が大きくなります。耐用年数の計算には「簡便法」が使われます。
簡便法の計算式
中古トラックの耐用年数は、法定耐用年数のうちどの程度経過しているかによって次の2つの式で求めます。
法定耐用年数の全部を経過している場合(新車登録から5年以上経過の中古車):
中古の耐用年数 = 法定耐用年数 × 0.2
大型トラック(ダンプ以外)なら 5年 × 0.2 = 1年。ただし算出結果が2年に満たない場合は 2年 が下限となるため、実質的には 2年 で償却します。
法定耐用年数の一部を経過している場合(新車登録から5年未満の中古車):
中古の耐用年数 = 法定耐用年数 − 経過年数 + 経過年数 × 0.2
たとえば新車登録から3年経過した大型トラック(法定耐用年数5年)の場合: 5年 − 3年 + 3年 × 0.2 = 2.6年 → 端数切り捨てで 2年 となります。

経過年数別の耐用年数早見表(ダンプ以外・法定耐用年数5年)
| 経過年数 | 計算式 | 中古耐用年数 |
|---|---|---|
| 1年 | 5 − 1 + 1×0.2 = 4.2 | 4年 |
| 2年 | 5 − 2 + 2×0.2 = 3.4 | 3年 |
| 3年 | 5 − 3 + 3×0.2 = 2.6 | 2年 |
| 4年 | 5 − 4 + 4×0.2 = 1.8 → 下限2年 | 2年 |
| 5年以上 | 5×0.2 = 1 → 下限2年 | 2年 |
この表からわかるとおり、新車登録から3年以上経過した中古大型トラックであれば、耐用年数は最短の2年になります。この「4年落ち」「3年落ち」の中古トラックは、償却期間が短く初年度の償却費を大きく取れるため、節税目的で選ばれることが多い車両です。
なお、ダンプ式(法定耐用年数4年)の場合は、上記の計算で「4年」を「5年」に読み替えて同様に計算します。3年以上経過していれば最短2年になる点は同じです。
大型トラックにかかる税金
大型トラックを所有・運行するには、減価償却費だけでなく、毎年の税金も把握しておく必要があります。主なものは自動車税(種別割)と自動車重量税です。
自動車税(種別割)
自動車税は、毎年4月1日時点の所有者に課される都道府県税です。大型トラックは貨物車として扱われ、最大積載量に応じて税額が決まります。自家用(白ナンバー)と事業用(緑ナンバー)で税率が大きく異なります。
大型トラックの自動車税 早見表(抜粋)
| 最大積載量 | 自家用(年額) | 事業用(年額) |
|---|---|---|
| 1t以下 | 8,000円 | 6,500円 |
| 1t超〜2t以下 | 11,500円 | 9,000円 |
| 2t超〜3t以下 | 16,000円 | 12,000円 |
| 3t超〜4t以下 | 20,500円 | 15,000円 |
| 4t超〜5t以下 | 25,500円 | 18,500円 |
| 5t超〜6t以下 | 30,000円 | 22,000円 |
| 6t超〜7t以下 | 35,000円 | 25,500円 |
| 7t超〜8t以下 | 40,500円 | 29,500円 |
| 8t超〜9t以下 | 45,900円(注) | 33,500円(注) |

(注)8t超の区分はトラクタ(被けん引車)の税率を参考に記載。実際の最大積載量に応じた税率は都道府県の条例に基づき、標準税率に対して各地域で上乗せされる場合があります。
一般的な大型トラック(10t車クラス、最大積載量10t超〜11t以下)の場合:
- 自家用: 約59,400円/年
- 事業用(緑ナンバー): 約43,100円/年
さらに、初度登録から13年を経過したディーゼル車は、環境性能に応じて約15%の重課が適用される場合があります。
自動車重量税
自動車重量税は、車検時にまとめて納付する国税です。車両総重量に応じて0.5tごとに税額が決まり、新車時は3年分、継続車検時は2年分を前払いします。自家用と事業用で税率が異なり、さらに初度登録からの経過年数によっても増額されます。
大型トラックの自動車重量税 早見表(2年分・本則税率)
| 車両総重量 | 自家用 | 事業用 |
|---|---|---|
| 〜8t | 32,800円 | 20,800円 |
| 〜9t | 36,900円 | 23,400円 |
| 〜10t | 41,000円 | 26,000円 |
| 〜11t | 45,100円 | 28,600円 |
| 〜12t | 49,200円 | 31,200円 |
| 〜13t | 53,300円 | 33,800円 |
多くの大型トラック(車両総重量20t未満)は上記の範囲におさまります。13年経過車・18年経過車はさらに重課され、たとえば10tクラスの自家用トラックでは、13年経過で約57,400円、18年経過で約63,200円(いずれも2年分)となります。
たとえば、車両総重量10tクラスの大型トラック(自家用・13年未満)を例にとると:
- 自動車税: 約59,400円/年
- 自動車重量税: 約41,000円/2年(年額換算 約20,500円)
- 合計: 約79,900円/年の税負担
事業用(緑ナンバー)であれば、この合計は約56,100円/年とおよそ3割減になります。
そのほかの主な維持コスト
税金以外にも、大型トラックには次のような維持費がかかります。
- 自賠責保険: 車検時に加入が義務付けられる強制保険。大型トラックは車検期間2年分で数万円。
- 任意保険: 対人・対物賠償や車両保険。運送事業者の場合、事業規模や事故リスクに応じて年間数十万円〜。
- 軽油引取税: 走行時に発生する燃料税(軽油1リットルあたり32.1円、都道府県により差あり)。
- 車検費用: 点検整備費を含めると1回あたり十数万円〜。大型車は分解整備が必要になるケースもあり高額になりがちです。
節税の考え方
大型トラックの購入・維持にかかる税負担を抑えるには、いくつかの考え方があります。ただし税務判断は個別の事業状況によりますので、最終的には税理士への相談をおすすめします。
定率法で初年度の償却費を最大化する
法人の場合、定率法を選択することで初年度に大きな償却費を計上できます。法定耐用年数5年の大型トラックであれば、償却率0.500により取得価額の約50%を初年度に経費化可能です。創業直後や利益の多い期に大型トラックを購入する場合、定率法による早期償却は大きな節税効果をもたらします。
3〜4年落ちの中古トラックを選ぶ
中古トラックの節税メリットは大きく、なかでも「3年落ち」「4年落ち」の車両は、簡便法により耐用年数が最短の2年となるため、2年間で全額を償却できます。取得価額が新車より低いことに加え、償却期間も短縮されるため、年度あたりの償却費は新車と同等か、場合によっては上回ることもあります。
決算期を意識した購入タイミング
減価償却は月割り計算のため、たとえば決算月の直前に購入すると、その期の償却費は1か月分しか計上できません。逆に決算の翌月に購入すれば、12か月分の償却費をその期に計上できます。購入時期を決算期と照らし合わせて計画することで、意図したタイミングで利益圧縮効果を得られます。
エコカー減税の対象車両を検討する
国土交通省が定める燃費基準を達成した大型トラックは、自動車重量税のエコカー減税の対象となり、新車新規登録時の重量税が免税または50%軽減される場合があります。近年はディーゼル車でも基準をクリアする車種が増えており、減税対象車両は年々拡大しています。新車で購入する場合は、燃費基準達成状況を確認しておくとよいでしょう。
事業用ナンバー(緑ナンバー)の取得
運送事業の許可を得て緑ナンバーを取得すると、自動車税・自動車重量税が自家用(白ナンバー)より大幅に安くなります。先述のとおり、10tクラスの大型トラックでは年間で2万円以上の差が出ます。すでに運送事業を営んでいる、または事業拡大を検討している場合は、緑ナンバーでの登録を前提に車両選びをするのが賢明です。
まとめ
大型トラックの減価償却・税金のポイントを振り返ります。
- 法定耐用年数はダンプ式で4年、それ以外で5年。積載量や事業用/自家用の区別は関係なし。
- 中古トラックは簡便法で最短2年の耐用年数に短縮可能。3年以上経過した車両が狙い目。
- 自動車税は最大積載量に応じて変動し、自家用の大型クラスで年額約6万円。事業用では約4.3万円。
- 自動車重量税は車検時に2年分をまとめて納付。大型クラスで自家用約4.1万円(2年分)。
- 節税には定率法の選択、中古車の活用、決算期を意識した購入、エコカー減税の活用が有効。
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参照元
- 国税庁「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」別表第一(機械及び装置以外の有形減価償却資産の耐用年数表)
- 国税庁「中古資産の耐用年数の見積り」(簡便法)
- 沖縄県公式ホームページ「自動車税(トラックの税率)」(2026年4月20日更新)
- 国土交通省「自動車重量税額について」
- トラックコンフロント「自動車重量税・税率早見表」