選び方・買い方

ハイゼットトラック 中古の選び方・注意点

2026.06.21 更新 読了 約14分 編集部
物流ヤードに停められた白いハイゼットトラック。キャブオーバー型の軽トラックで、後部に平らな荷台を持つ実用的な商用車

ハイゼットトラックの中古車を検討しているなら、まず押さえておきたいのは「ハイゼットトラックは軽トラックであり、同じハイゼットの名を冠する軽バン(ハイゼットカーゴ)とはまったく別の車種」という点です。ハイゼットトラックは16年連続で国内トラック販売台数首位を獲得してきた軽トラックの定番で、農業・建設・運送の現場からアウトドアまで、幅広い使われ方をしています。

本記事では、ハイゼットトラックの中古車を選ぶときに知っておくべき世代・年式の違い、グレードの選び方、故障しやすい箇所、そして実車確認のチェックポイントを、軽トラックの特性を踏まえて解説します。

ハイゼットトラックとは? どんな車か、どんな用途に向くか

ハイゼットトラックは、ダイハツが1960年から製造している軽トラックです。現行型は2014年に登場した10代目(S500系)で、2021年12月にはCVT採用や内外装の改良を受けた後期型へ移行しました。

軽トラックとしての構造上の最大の特徴は、キャブオーバー型(運転席の真下に前輪がある)であること。同じハイゼットの名を冠するハイゼットカーゴ(軽バン)はセミキャブオーバー構造で、エンジンがキャビン前方にあります。この違いにより、トラックは荷台がキャビンと独立したオープンデッキ、カーゴは室内荷室(ワンボックス)という、根本的に異なる車両になっています。

主な用途は以下のとおりです。

  • 農業:軽トラック最大の市場。荷台の低さと積み下ろしのしやすさが強み
  • 建設・土木:機材や資材の運搬。悪路でも小回りが利く
  • 配送・運送:軽貨物運送。幌(ほろ)を架ければ雨天時の荷物も安心
  • アウトドア・趣味:キャンプ・釣り・バイク積載など、レジャー用途にも人気

ハイゼットトラックの最大積載量は軽自動車規格の上限である350kg。荷台サイズは長さ約1,940mm×幅約1,410mmで、軽トラックのなかでもトップクラスの荷台フロア長を確保しています。2人乗りで後席はありません。

ハイゼットトラックの世代と年式の変遷

ハイゼットトラックの9代目(S200系、1999~2014年)と10代目(S500系、2014年~)の外観比較。左が丸みを帯びたヘッドライトの9代目、右がシャープなフロントフェイスの10代目

中古市場で流通しているハイゼットトラックは、大きく2つの世代に分かれます。

世代型式販売期間中古市場での位置づけ
9代目S200系(S200P/S210P)1999年1月~2014年8月低価格帯の主力。10~50万円台中心
10代目(現行)S500系(S500P/S510P)2014年9月~現在中古市場の中心。40~170万円台

9代目は15年8か月という長期間販売されたため、前期(1999~2004年)・中期(2004~2007年)・後期(2007~2014年)と細かく改良が入っています。中古で選ぶ際は、年式とともにどのフェイズのモデルかを意識するとよいでしょう。

10代目は、軽トラックとして初めて衝突回避支援システム「スマートアシスト」を搭載した世代です。2021年12月の改良でトランスミッションが4ATからCVTに変更され、燃費性能と走行フィーリングが向上しました。2026年3月にはさらなる改良版も発売されています。

なお、ハイゼットトラックはトヨタ「ピクシストラック」、スバル「サンバートラック」としてもOEM供給されています。中古市場では同一車両が別ブランドで流通しているため、選択肢を広げたい方はこれらの車名でも検索すると在庫が増えます。

中古で狙うべき年式・グレード

予算別の狙い目

予算30万円以下:9代目(S200系)の後期モデル(2007~2014年)が狙い目。走行距離10万km前後の個体が多く、実用重視なら十分なコンディションの車両を見つけられます。4WDはこの価格帯でもプレミアムがつくため、2WDならさらに予算を抑えられます。

予算50~80万円:10代目(S500系)の前期モデル(2014~2019年)が射程に入ります。走行距離5~8万km程度のスタンダードグレードが中心。AT車はリコール対策済みかを確認しましょう。

予算100万円以上:10代目後期(2021年~)の低走行車や、ジャンボ・エクストラなどの上級グレードが視野に。新車納期が長引くこともあるため、状態の良い中古車は人気が高く流通も早いです。

グレードの選び方

グレード特徴こんな人におすすめ
スタンダードエントリーグレード。2WD/4WD、MT/CVTを選択可予算重視、実用本位の人
エクストラLEDヘッドランプなど上級装備。2026年改良型ではADB(アダプティブドライビングビーム)標準快適装備を求める人
ジャンボキャビン後方を約100mm拡大。リクライニング可能で長時間運転が楽体格の大きい人、長距離乗る人
農用スペシャルデフロック、PTO(外部動力取出装置)対応など農業向け特装農業・畑作業で使う人

ジャンボは中古市場でも人気が高く、同年式のスタンダードより10~20万円程度高値で取引されます。長距離を走る機会が多いなら、この差額を払う価値は十分にあります。

2WDか4WDか

4WDは2WDより10~30万円ほど高くなります。積雪地域や未舗装路での使用がメインなら4WD一択ですが、舗装路中心の配送用途なら2WDで十分です。農作業用途では意外と2WDでも事足りるケースが多く、必要以上に高いグレードを選ばないことがコストダウンの鍵です。

MTかCVT(AT)か

2021年以前の10代目は4AT、2021年以降はCVTが搭載されています。MTは燃費・耐久性で有利ですが、中古市場ではAT/CVTのほうが流通量が多く、日常使いのしやすさではAT/CVTが上回ります。ただし、2014年8月~2020年11月に製造されたAT車にはトランスミッションのリコール(サービスキャンペーン)が出ているため、購入前に対策済みかの確認が必須です。

ハイゼットトラックの弱点・故障しやすい箇所

サビ(錆)——最大のチェックポイント

ハイゼットトラックで最も注意すべきはサビです。荷台は金属製で、雨ざらし・泥・融雪剤の影響を直接受けます。特に以下の箇所は要確認です。

  • 荷台の床面とアオリの接合部
  • キャビン下部(フレームとの接合部)
  • マフラー・サスペンション周辺

9代目から防錆鋼板が採用されていますが、それでも使用環境によってサビの進行度は大きく変わります。沿岸部や積雪地域で使われていた車両は特に注意してください。

エンジン(KF型)まわりの注意点

ハイゼットトラックに搭載されているKF型エンジン(660cc 直列3気筒)は、シンプルで耐久性の高い設計ですが、以下の点に注意が必要です。

  • ウォーターポンプの異音:ベアリングの劣化により「カラカラ」という異音が出ることがあります。交換費用は工賃込みで2~3万円程度。
  • オルタネーター(発電機)の故障:経年により発電不良が起きると、バッテリー上がりやエンジン停止につながります。
  • イグニッションコイル・プラグの劣化:加速不良やエンジン警告灯の点灯原因になります。定期的な交換が望ましいです。

なお、9代目(S200系)のエンジンは2005年12月以前のモデルではEF型が搭載されています。EF型搭載車はタイミングベルト(10万kmごと交換推奨)が使われているため、交換履歴の確認が重要です。2005年12月以降はKF型に切り替わり、タイミングチェーン化されています。

ATリコール(10代目前期)

2014年8月~2020年11月に製造された10代目(S500系)のAT車には、トランスミッションのオイル漏れによる走行不能リスクが報告され、リコール(サービスキャンペーン)が実施されました。対策はプログラム書き換えで対応可能です。購入前に「対策済み」であることを販売店に確認しましょう。

ラジエーター・冷却水漏れ

経年劣化によりラジエーターの腐食や冷却水漏れが発生することがあります。オーバーヒートはエンジンに致命的なダメージを与えるため、リザーバータンクの水位や冷却水の色(濁り・サビ色)を確認してください。

足回り・サスペンション

軽トラックはリーフリジッド式サスペンションを採用しており、乗り心地は乗用車に比べて硬めです。これは構造上の特性であり故障ではありませんが、過積載や悪路走行の多い車両ではリーフスプリングのへたりやブッシュの劣化が進んでいることがあります。

購入時のチェックポイント

中古ハイゼットトラック購入時のチェックポイント図解。①荷台・アオリ ②エンジンルーム ③下回り・フレーム ④室内・電装品 ⑤書類・整備記録 の5箇所を番号付きで表示

実車を見に行くときに確認すべきポイントをまとめます。整備の知識がなくても、以下の項目は目視や簡単な操作でチェックできます。

1. エンジンルームを開けて確認する

  • エンジンオイルの量と色(真っ黒でドロドロしていないか)
  • 冷却水の水位と色(濁りやサビ色がないか)
  • オイル漏れ・冷却水漏れの跡(エンジン下面の濡れ・シミ)
  • ベルト類のひび割れ

2. 下回り・荷台を覗き込む

  • フレーム・サスペンション・マフラーのサビ(表面サビか、構造的な腐食か)
  • 荷台のアオリを開け閉めし、歪み・ガタつきがないか
  • 荷台床面の凹みや腐食穴

3. 室内・電装品を操作する

  • エアコンの効き(冷房・暖房とも)
  • パワーウィンドウの動作(全開・全閉がスムーズか)
  • ワイパー・ウォッシャーの動作
  • メーター内の警告灯(エンジン始動後に消灯するか)

4. 試乗で確認する

  • 直進時のハンドルのセンター位置(左右に傾いていないか)
  • ブレーキの効きと異音
  • 加速時のエンジンの息つきや異音
  • 段差を越えたときの足回りからの異音

5. 書類で確認する

  • 整備記録簿:定期的なオイル交換・点検の履歴があるか
  • リコール対策済みの確認:AT車の場合は必須
  • 修復歴:修復歴ありの車両は価格が下がりますが、フレーム修正の質によっては将来的な不具合リスクが残ります

中古ハイゼットトラックの価格相場

2026年6月時点の中古ハイゼットトラックの大まかな価格帯を、年式別にまとめます。

年式(世代)スタンダード 2WD 相場4WD / ジャンボ 相場
2024~2026年(10代目後期)100~140万円130~170万円
2020~2023年(10代目前期~後期)70~120万円100~160万円
2014~2019年(10代目前期)40~90万円60~120万円
2007~2014年(9代目後期)20~60万円30~70万円
1999~2007年(9代目前期~中期)10~40万円15~50万円

※ 相場は走行距離・地域・車両状態により大きく変動します。上記は目安です。

ハイゼットトラックは中古車市場でのリセールバリューが高く、「値崩れしにくい軽トラック」として知られています。5年落ちでも新車価格の70%前後を維持することが多く、買い替え時の下取りでも有利です。

まとめ:ハイゼットトラックの中古は「使われ方」を見極める

ハイゼットトラックの中古車選びで最も大切なのは、走行距離や年式以上に「どう使われてきたか」を見極めることです。同じ5万kmでも、丁寧に整備されてきた個体と、過積載・メンテナンス不足で酷使されてきた個体とでは、その後の耐久性が大きく変わります。

以下の順で検討を進めると、失敗が少なくなります。

  1. 自分の用途(農業・配送・アウトドアなど)を明確にする
  2. 用途に合ったグレード・駆動方式を選ぶ
  3. 予算から狙う年式の目処をつける
  4. 実車確認でサビ・エンジン・整備履歴を重点チェックする
  5. AT車はリコール対策済みを確認する

トラックバンクでは、全国の中古トラック販売店が掲載するハイゼットトラックの在庫を、ボディタイプ・メーカー・年式・価格帯・地域などからまとめて検索できます。在庫は日々更新されるため、気になる車両があればお気に入り登録しておくと、売却済みになる前に素早くチェックできます。

参照元

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